令和4年度 東邦大学医療センター佐倉病院 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 328 198 286 494 860 1163 1605 3240 2113 261
当院は、大学病院として高度先進医療の提供と、地域の中核病院として質の高い医療を提供しています。
2022年4月~2023年3月に退院した患者さんのうち、健康保険診療でDPC(診断群分類別包括評価)適用となった方を対象に、年齢を10歳毎に集計しております。
退院患者数の合計は10,548人で、一番多い年齢階層は70歳代で全体の30.7%を占めています。
60歳以上の患者さんの占める割合が全体の68.4%と高齢者が多い傾向にあります。
 ※入院時の年齢で集計しています。

診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010x199x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(2500g以上)-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 52 7.67 6.13 0.00% 0.00
140010x299x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(1500g以上2500g未満)-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 26 16.50 10.92 0.00% 0.00
010230xx99x00x てんかん-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:なし-0 25 10.56 7.33 0.00% 6.88
140010x299x2xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(1500g以上2500g未満)-手術なし-処置1:0-処置2:2あり-副病:0-0 22 26.91 28.04 0.00% 0.00
040100xxxxx00x 喘息-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:なし-0 17 5.82 6.05 0.00% 3.94
当科は一般小児科病棟の他に、新生児集中治療室(NICU)/新生児回復室(GCU)を設置しており、地域周産期母子医療センターとしての機能を有しています。そのため、新生児の医療的ケアに力を入れており、地域からの周産期医療へのニーズが高く、NICUへの入院が多い状況が続いており、さらに在胎週数のより早い児への対応を行うよう取り組んでいるため、低出生体重児の入院がさらに増えてきている状況です。
出生体重2,500g以上の新生児では呼吸障害、黄疸、胎便吸引症候群などが多く、1,500~2,500g以下の新生児は比較的軽症例で占められていますが、いずれも呼吸障害の程度は軽くなく、呼吸状態の安定化を図るのに多少の日数を要しています。
当科は神経疾患に重点を置いており、けいれん性疾患については内服治療の精度向上により通院による診療が中心となってきたものの、治療抵抗性を示す難治てんかんの紹介患者の増加にあわせ、入院で発作焦点の同定・薬剤調整を要する患者が増加して来ている状況です。
一般小児科としては、気管支喘息は薬剤や管理法の進歩により入院加療を要することは減少していますが、感染を契機に増悪する患者も少なくなく、一定の割合を占めており、呼吸器系ウイルス疾患の流行(RSウイルス)ともあわせ、とくに幼小児における気道感染症による入院がそれに続く状況となっています。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx97x00x 肺の悪性腫瘍-その他の手術あり-処置1:0-処置2:なし-副病:なし-0 57 6.25 10.06 0.00% 71.61
090010xx010xxx 乳房の悪性腫瘍-乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等-処置1:なし-処置2:0-副病:0-0 44 8.55 9.99 0.00% 67.68
040200xx01x00x 気胸-肺切除術等-処置1:0-処置2:なし-副病:なし-0 27 9.48 9.68 0.00% 38.07
090010xx02xxxx 乳房の悪性腫瘍-乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの)-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 12 4.67 5.67 0.00% 62.92
160450xx99x10x 肺・胸部気管・気管支損傷-手術なし-処置1:0-処置2:あり-副病:なし-0 - - 10.83 - -
呼吸器外科では呼吸器の手術治療を中心に診療しています。入院患者数としては肺悪性腫瘍と気胸が多くを占めています。肺悪性腫瘍については肺癌診療ガイドラインに沿った手術適応を基本としており、標準的な手術を行うようにしています。手術は最近の器具・機器・医療材料を有用なものについては取り入れるようにし、術後疼痛を抑えることについても配慮しています。いずれの疾患についても順調に経過して早期に退院できることを目標としています。
乳腺外科では原発性乳がん、転移性乳がん、その他の乳腺悪性腫瘍および良性腫瘍の診断、外科治療、術後補助療法を担当しています。特に高い専門性を求められる非浸潤性乳がんの診断と外科治療では、広域から患者さんを紹介していただいています。
多様化する患者さんのニーズに応えるべく、患者さん一人一人に最適な乳がん手術を提供しています。高い整容性を求める患者さんに対しては乳房部分切除や乳房再建を含めた乳房切除を提供し、高齢などの生活リスクのある患者さんに対しては、低侵襲性を重視して早期退院ができるように心がけています。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。)-人工関節再置換術等-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 117 19.24 22.44 16.24% 74.83
160620xx01xxxx 肘、膝の外傷(スポーツ障害等を含む。)-腱縫合術等-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 66 9.65 13.19 3.03% 38.67
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折-人工骨頭挿入術 肩、股等-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 48 31.35 26.42 68.75% 80.19
160690xx99xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。)-手術なし-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 36 23.06 20.09 61.11% 79.03
070343xx97x0xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎-その他の手術あり-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 27 18.37 15.60 11.11% 72.59
膝関節の変性疾患およびスポーツ外傷、関節リウマチ、脊椎疾患、一般外傷など幅広い分野の診療を行っています。
特に膝関節疾患、関節リウマチ、脊椎疾患に関しては、手術をはじめとする専門的治療目的で、他医療機関から紹介される症例が多いです。また、地域基幹病院として、救急外傷患者さんもできるだけ受け入れるよう努めています。
症例数の多い大腿骨近位部骨折は、地域連携パスを使用して早期に回復期リハビリテーション病院へ転院できるような体制をとっています(2022年度地域連携パス運用率:31.3%)。医療連携を重視した診療を行うことで、2022年度の当科受診患者さんの紹介率は95.9%、逆紹介率は125.7%(年間平均)となっています。
形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020230xx97x0xx 眼瞼下垂-手術あり-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 57 3.23 2.90 0.00% 68.30
070010xx970xxx 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く。)-その他の手術あり-処置1:なし-処置2:0-副病:0-0 18 5.39 4.50 0.00% 49.39
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外)-皮膚悪性腫瘍切除術等-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 14 7.50 7.29 7.14% 80.57
080006xx97x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外)-その他の手術あり-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 13 7.69 9.34 0.00% 79.38
090010xx011xxx 乳房の悪性腫瘍-乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等-処置1:あり-処置2:0-副病:0-0 12 14.25 15.14 0.00% 47.50
眼瞼下垂症は腱膜性・加齢性眼瞼下垂症が主ですが、小児の先天性眼瞼下垂も多く扱っており、挙筋前転術や眉毛下皮膚切除術、筋膜移植術を行っています。また、顔面神経麻痺に伴う眼瞼下垂では、閉瞼障害に配慮しつつ眉毛挙上術や上眼瞼余剰皮膚切除術、下眼瞼吊り上げ術を行っています。四肢・駆幹の軟部腫瘍は皮下・筋肉内脂肪腫がメインですが、急速に発育するものは画像検査に加え、生検で悪性腫瘍との鑑別を行います。皮膚の悪性腫瘍は、根治切除と皮弁や植皮術により再建しますが、特に顔面では外鼻・眼瞼・頬部・口唇の悪性腫瘍に対しユニット原理に基づいた整容・機能面に配慮した再建手術を行っています。乳がん切除後の乳房再建は、遊離腹直筋穿通枝皮弁による一次一期再建(片側・両側)をメインに行っています。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満)-手術なし-処置1:なし-処置2:4あり-副病:なし-発症前Rankin Scale 0、1又は2 47 15.43 15.97 29.79% 73.64
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷-その他の手術あり-処置1:0-処置2:なし-副病:なし-0 41 9.49 10.14 24.39% 81.17
010070xx9910xx 脳血管障害-手術なし-処置1:あり-処置2:なし-副病:0-0 40 2.30 3.23 0.00% 75.25
010030xx9910xx 未破裂脳動脈瘤-手術なし-処置1:あり-処置2:なし-副病:0-0 25 2.20 2.95 0.00% 67.64
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満)-手術なし-処置1:なし-処置2:なし-副病:なし-0 21 15.29 19.58 47.62% 72.00
当院では脳卒中ケアユニット(SCU)を運営しており、非外傷性頭蓋内出血、脳梗塞を積極的に受け入れています。脳卒中の専門知識を持つ経験豊富な医師、看護師、リハビリテーション技師らの専門チームにより、脳卒中を発症早期から24時間体制で集中的に治療を行っています。早期離床を目指し加療し、必要であれば早期の回復期リハビリテーション病院へ転院を進められるように、医師、リハビリテーション技師、看護師およびメディカルソーシャルワーカーとの多職種カンファレンスを定期的に行っています。そのため脳出血の平均在院日数は15.29日、脳梗塞の平均在院日数は15.43日であり、より短い期間に抑えられるよう努力しております。また脳卒中予防のための検査入院につきましては、平均在院日数2.20日から2.30日と短期間で行っております。
心臓血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050180xx02xxxx 静脈・リンパ管疾患-下肢静脈瘤手術等-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 35 2.89 2.66 0.00% 71.34
050080xx0101xx 弁膜症(連合弁膜症を含む。)-ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等-処置1:なし-処置2:1あり-副病:0-0 18 18.56 21.78 0.00% 71.11
050050xx0101xx 狭心症、慢性虚血性心疾患-心室瘤切除術(梗塞切除を含む。) 単独のもの等-処置1:なし-処置2:1あり-副病:0-0 14 27.14 21.24 0.00% 72.07
050163xx03x0xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤-ステントグラフト内挿術-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 - - 10.62 - -
050163xx9900xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤-手術なし-処置1:なし-処置2:なし-副病:0-0 - - 8.08 - -
近年下肢静脈瘤に悩んでいる方が数多くおられ、外科治療対象となる方が増大しており、局所麻酔で再発の心配が少ないストリッピングを中心に日常診療を進めています。最近は低侵襲治療が流行しており、神経損傷がなく皮下の内出血の痕も残さない、グルーによる血管内塞栓術も開始しております。
大動脈弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症を中心とした弁膜症が数多く診断されるようになり、近年の外科手術手技の向上に伴い症例によっては右小開胸での弁置換、弁形成術が可能なケースも増えてきています。
虚血性心疾患は糖尿病増加に伴い外科治療対象者が増加してきています。心機能が良好な症例では、人工心肺を用いないオフポンプ冠動脈バイパス術を積極的に行い極めて良好な結果を得ています。   CT検査の結果、胸部・腹部(腸骨動脈を含む)の大動脈瘤が見つかる方が数多くおられ、外科治療対象となる方が増大しておりますが、近年はカテーテルを用いたステントグラフト内挿術が増加しています。
産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120060xx01xxxx 子宮の良性腫瘍-子宮全摘術等-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 103 7.70 9.27 0.00% 46.66
120060xx02xxxx 子宮の良性腫瘍-腹腔鏡下腟式子宮全摘術等-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 97 5.95 5.98 0.00% 44.12
12002xxx01x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍-子宮悪性腫瘍手術等-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 53 8.23 10.48 0.00% 59.00
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍-卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 48 5.88 6.04 0.00% 45.67
12002xxx99x40x 子宮頸・体部の悪性腫瘍-手術なし-処置1:0-処置2:4あり-副病:なし-0 35 3.71 4.27 0.00% 61.94
子宮良性腫瘍(子宮筋腫、子宮腺筋症)及び子宮頸部上皮異形成に対して、腹腔鏡下または開腹の子宮全摘術を行います。良性卵巣腫瘍に対しては腹腔鏡下手術を第一選択とします。良性腫瘍の術式選択は腫瘍の大きさや患者さんの既往歴により決定します。初期の子宮体癌には腹腔鏡を、進行性子宮体癌及び子宮頸癌は開腹手術を行います。婦人科疾患に対しては腹腔鏡技術認定医、婦人科悪性腫瘍認定医をリーダーとするグループで対応しています。周産期医療では地域周産期母子医療センターとして、ローリスクからハイリスク妊娠まで診療を行います。麻酔科、新生児科と協力して緊急手術にも対応します。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患-手術あり-処置1:0-処置2:0-副病:0-片眼 356 3.59 2.63 0.56% 72.49
020160xx97xxx0 網膜剥離-手術あり-処置1:0-処置2:0-副病:0-片眼 205 9.11 8.05 0.00% 57.37
020200xx9710xx 黄斑、後極変性-手術あり-処置1:あり-処置2:なし-副病:0-0 145 4.93 5.80 0.00% 68.21
020240xx97xxx0 硝子体疾患-手術あり-処置1:0-処置2:0-副病:0-片眼 76 5.71 5.07 1.32% 67.53
020110xx97xxx1 白内障、水晶体の疾患-手術あり-処置1:0-処置2:0-副病:0-両眼 73 4.21 4.67 0.00% 75.58
重篤な糖尿病網膜症、眼外傷、網膜剥離などの緊急手術を要する症例への対応として、網膜硝子体手術を専門とする医師を外来診察および手術室担当として偏りなく配置していますので、網膜硝子体疾患のご紹介は毎日受けることが可能な体制をとっています。
白内障は日帰り手術が基本ですが、患者様やご家族の必要度に応じて入院手術で行うことも可能です。またチン小帯の脆弱な症例や過熟白内障など難症例も手術可能です。人工眼内レンズの強膜内固定や縫着術も施行しております。
耳鼻咽喉科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎-手術なし-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 84 6.13 6.23 0.00% 58.90
030428xxxxxxxx 突発性難聴-手術なし-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 47 8.00 8.56 0.00% 57.70
030440xx01xxxx 慢性化膿性中耳炎・中耳真珠腫-鼓室形成手術-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 47 6.43 6.83 0.00% 48.28
030150xx97xxxx 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍-手術あり-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 33 6.15 6.81 0.00% 59.42
030320xxxxxxxx 鼻中隔弯曲症-手術なし-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 30 5.50 6.00 0.00% 58.37
耳鼻咽喉科領域すべてにわたる診察と、再建を必要としない良性・悪性腫瘍を含む耳鼻咽喉科疾患に対する治療を行っています。
手術の対象となる疾患としては慢性副鼻腔炎、慢性中耳炎・真珠腫性中耳炎が多くを占め、耳下腺や顎下腺などの腫瘍がそれに続きます。慢性中耳炎・真珠腫性中耳炎に対しては鼓室形成術を、また、慢性副鼻腔炎に対しては内視鏡下鼻副鼻腔手術を行っています。唾液腺腫瘍に対しては摘出術を行っています。病変の進展範囲などにより術式は異なりますが、平均在院日数が短くなるよう努めています。
一方、保存的治療の対象となる疾患のうち、特に重症の突発性難聴や顔面神経麻痺、扁桃周囲膿瘍、前庭神経炎などは基本的に入院加療として、より高い治療効果が得られるよう診療にあたっています。メニエール病や遅発性内リンパ水腫に対する中耳加圧療法も行っています。
入院患者さんのうち8割以上には、クリニカルパスを用いて入院中の生活面や医療面についての情報を事前にお伝えしています。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080010xxxx0xxx 膿皮症-手術なし-処置1:なし-処置2:0-副病:0-0 25 10.64 13.50 12.00% 68.40
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外)-皮膚悪性腫瘍切除術等-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 14 6.14 7.29 0.00% 78.14
080020xxxxxxxx 帯状疱疹-手術なし-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 - - 9.25 - -
080190xxxxxxxx 脱毛症-手術なし-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 - - 3.34 - -
080110xxxxx0xx 水疱症-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 - - 28.56 - -
皮膚科では蜂窩織炎などの急性膿皮症や帯状疱疹などの急性感染症の緊急入院に多く対応しています。クリニカルパスを用いて、在院日数の短縮を図る治療を行っています。皮膚の悪性腫瘍・良性腫瘍の入院手術についても、クリニカルパスを採用し、平均在院日数も全国平均以下でDPCの入院期間Ⅱ以内で治療および退院ができています。脱毛症に対して、入院による短期間の点滴治療を行っています。いずれの疾患に対しても、入院初期より自宅退院を目標に退院調整を開始し、退院後の処置や指導を入院中に効率的に行って、入院期間の短縮に努めています。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍-手術なし-処置1:あり-処置2:0-副病:0-0 272 2.21 2.45 0.00% 72.41
110080xx01xxxx 前立腺の悪性腫瘍-前立腺悪性腫瘍手術等-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 124 11.41 11.30 0.00% 70.50
110070xx03x20x 膀胱腫瘍-膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術-処置1:0-処置2:2あり-副病:なし-0 99 6.84 6.66 0.00% 75.60
11012xxx02xx0x 上部尿路疾患-経尿道的尿路結石除去術-処置1:0-処置2:0-副病:なし-0 97 5.70 5.29 0.00% 60.63
110080xx03xxxx 前立腺の悪性腫瘍-経皮的放射線治療用金属マーカー留置術-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 70 3.74 2.71 0.00% 77.00
当院では前立腺がん、膀胱がん、尿路結石などの疾患に対して腹腔鏡手術・内視鏡治療を多く行っています。
最近増加傾向にある前立腺がんに対しては前立腺生検で確定診断を行った後に、患者様の病状に応じて手術・放射線・薬物療法などの治療を行っています。当院ではロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘術(ダヴィンチ®)や強度変調放射線治療(IMRT)など様々な最新治療を提供しています。前立腺がんの放射線治療の前には、隣接する直腸への放射線被曝を低減させるためにハイドロゲルスペーサー(SpaceOAR®)と金属マーカーを挿入しています。
膀胱がんに対しては尿道から膀胱に内視鏡を挿入して腫瘍を切除する経尿道的膀胱腫瘍切除術を行います。腎結石や尿管結石に対しては細い尿管鏡を尿道から尿管に挿入してレーザーなどで結石を砕き取り除きます。
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040110xxxxx0xx 間質性肺炎-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 70 24.31 18.57 5.71% 76.43
040040xx9900xx 肺の悪性腫瘍-手術なし-処置1:なし-処置2:なし-副病:0-0 37 12.38 13.49 0.00% 74.81
070560xx99x00x 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:なし-0 37 14.68 14.67 0.00% 65.32
040150xx99x0xx 肺・縦隔の感染、膿瘍形成-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 26 25.27 22.66 3.85% 74.15
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 20 21.65 21.11 50.00% 81.95
肺がんの内科治療は、入院診療より外来診療にシフトしています。当院では、気管支鏡も含めた検査や、がんの治療の大半を外来で行っており、入院となるのは、年齢、合併症も含めた総合的な重症度ならびにリスクが高い方が中心です。そのため、平均在院日数は全国平均より長めになっていると考えられます。外来で対応可能な患者を入院させれば、平均在院日数は短くなると予想されます。間質性肺炎についても、検査入院などは一切行っておらず、入院は重症度などで、入院が必要な症例に限るため、在院日数は長くなる傾向があると考えられます。誤嚥性肺炎の入院が増えているのは、救急科創設で、より積極的に救急患者を受け入れるようになったためと考えられます。
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx9910x0 狭心症、慢性虚血性心疾患-手術なし-処置1:1あり-処置2:なし-副病:0-他の病院・診療所の病棟からの転院以外 177 3.00 3.04 0.00% 71.14
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患-経皮的冠動脈形成術等-処置1:なし、1,2あり-処置2:なし-副病:0-0 139 4.46 4.26 0.00% 73.08
050070xx01x10x 頻脈性不整脈-経皮的カテーテル心筋焼灼術-処置1:0-処置2:1あり-副病:なし-0 82 5.15 6.69 0.00% 68.50
050210xx97000x 徐脈性不整脈-手術あり-処置1:なし、1,3あり-処置2:なし-副病:なし-0 73 10.78 9.89 0.00% 78.79
050050xx9920x0 狭心症、慢性虚血性心疾患-手術なし-処置1:2あり-処置2:なし-副病:0-他の病院・診療所の病棟からの転院以外 69 3.12 3.22 0.00% 71.04
循環器内科では、クリニカルパスを用い、冠動脈疾患、頻脈性不整脈のカテーテル治療を行っております。いずれも待機的に対応できるため、平均在院日数は短く抑えられています。一方、徐脈性不整脈は、緊急で入院されることが多く、在院日数は増えております。年齢も他と比べ、高齢であり、地域の基幹病院として、高齢者の緊急入院への円滑な対応が求められています。
腎臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全-手術なし-処置1:なし-処置2:なし-副病:0-0 34 5.50 11.77 5.88% 58.62
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症-手術なし-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 24 12.83 13.61 4.17% 74.08
110280xx9901xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全-手術なし-処置1:なし-処置2:1あり-副病:0-0 17 12.65 13.82 5.88% 65.41
110280xx991xxx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全-手術なし-処置1:あり-処置2:0-副病:0-0 13 5.00 6.45 0.00% 44.08
110260xx99x0xx ネフローゼ症候群-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 10 23.50 20.06 0.00% 61.70
当院では蛋白尿血尿などの尿検査異常、糸球体疾患、およびネフローゼ症候群に対し腎生検も含めた診断・治療を行っています。腎臓病は時に急性の経過を辿り、時に慢性の経過を辿り、治癒・寛解する疾患もあれば、末期腎不全に至る可能性がある疾患です。脱水、熱中症、敗血症、重症感染症、心腎連関症候群などの院内外の急性腎障害に対応し、慢性腎臓病の重症化予防も行っています。近年では「Save the Nephrons」を掲げ、ネフロン喪失を防ぐためにそのリスク因子を同定し、その先の健康を保持するための治療のプランを選定しています。残念ながら末期腎不全に至った場合、透析導入を行い、状態が安定した段階で近隣透析医療機関に紹介をしております。透析ベッドを6床有し、慢性維持血液透析患者さんの入院を必要とする急病に対応しています。
救急科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030400xx99xxxx 前庭機能障害-手術なし-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 11 1.82 4.79 9.09% 73.27
161060xx99x0xx 詳細不明の損傷等-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 - - 2.86 - -
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 - - 21.11 - -
100380xxxxxxxx 体液量減少症-手術なし-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 - - 11.15 - -
161020xxxxx00x 体温異常-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:なし-0 - - 6.70 - -
救急科は眼科、産婦人科、小児科以外の救急車の受け入れを主におこなっている。入院の原因となる主訴は呼吸困難、何らかの疼痛、発熱の3つが40%を占めている。多くは救急科以外の専門科に入院依頼としている。しかし、誤嚥性肺炎、腎盂腎炎、虚血性腸炎、めまい症、中毒疾患などのcommon deseaseは救急科で入院させ管理をおこなっている。なかでも誤嚥性肺炎は高齢者化率が高いため入院の多くを占める。これらの患者は、リハビリが必要になることが多いので、急性期治療後リハビリのため転院することが多い。
消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。)-内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 369 2.17 2.64 0.00% 69.83
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎-限局性腹腔膿瘍手術等-処置1:0-処置2:なし-副病:なし-0 90 8.69 8.94 0.00% 75.07
060020xx04xxxx 胃の悪性腫瘍-内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 50 7.02 7.76 0.00% 77.38
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞-手術なし-処置1:なし-処置2:なし-副病:なし-0 41 9.00 9.00 4.88% 64.54
060102xx99xxxx 穿孔又は膿瘍を伴わない憩室性疾患-手術なし-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 35 9.71 7.63 2.86% 58.86
当科では消化器疾患全般に対してX線検査・内視鏡検査・超音波検査・CT/MRI検査を行い、迅速かつ正確な画像診断した後、治療へ移行します。胃病変、大腸病変ともに内視鏡的治療を多数実施しています。2cm未満の大腸ポリープは1泊2日で治療が可能です。病変範囲が広い早期胃がんや早期大腸がんに対しては粘膜剥離術という根治切除を積極的に実施していますが、術後の出血や穿孔に対してのモニタリングに数日間の入院を要します。食習慣の変化と高齢化に伴い胆道結石症・胆道炎を発症する患者さんが増えていますが、胆道疾患に対しても内視鏡による治療を積極的に実施しております。腸閉塞や大腸憩室に伴う炎症についても数多く受け入れ入院対応を行っております。
潰瘍性大腸炎とクローン病は厚生労働省に難病指定されている難治性炎症性腸疾患です。当科に通院する炎症性腸疾患患者さんは、総数2,000人であり、全国で有数の病院となっています。各種最先端の診断法・治療法を積極的に導入し迅速な診断に基づき、最適化された各種治療法を駆使しQOL(Quality of Life=生活の質)の高い、外来通院での治療を基本としています。重症例に対しては入院にて外科治療法を含め短期に改善・退院をめざす治療を実施しています。                    
消化器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上)-ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 97 4.14 4.59 0.00% 71.63
060330xx02xxxx 胆嚢疾患(胆嚢結石など)-腹腔鏡下胆嚢摘出術等-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 41 5.90 6.07 0.00% 58.76
060035xx010x0x 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍-結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等-処置1:なし-処置2:0-副病:なし-0 35 12.91 15.40 0.00% 73.57
060335xx02000x 胆嚢炎等-腹腔鏡下胆嚢摘出術等-処置1:なし-処置2:なし-副病:なし-0 34 7.00 6.93 0.00% 65.18
100120xx97xxxx 肥満症-手術あり-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 34 7.74 11.45 0.00% 44.74
消化器疾患全般(食道、胃、小腸、大腸・肛門、肝胆膵、肥満)を対象として診療しています。
良性疾患・悪性疾患ともに、低侵襲性と根治性の向上を図っており、腹腔鏡下手術を消化管がんの80%以上に、胆石症、虫垂炎、炎症性腸疾患のほぼ全例に適用しています。現在では、胃・直腸のロボット支援下手術も行っています。
消化管がん(胃・結腸等)患者さんは増加傾向にあり、患者さんの高齢化も進んでおります。当科では、積極的に腹腔鏡下手術での対応を図り、低侵襲外科治療方針を継続しております。手術後の経過も全国平均より短い日程での退院が可能となっており、早期社会復帰を進めながら、集学的治療による根治性の向上を図っています。
一方、急性腹症に対する救急外科にも積極的に対応しており、年間約100件の胆嚢炎・虫垂炎を中心とする腹部救急外科診療を行っております。この領域におきましても腹腔鏡下手術にて大部分の治療を可能としております。また、増加する高齢者の治療についても、他の診療科と連携して、安全性の確保のもと積極的に治療しています。近年問題となっている肥満症に対しては、内科、メンタル科と連携しながら、減量・代謝改善手術に臨んでいます。国内でも有数の手術件数をほこり、また術式を選択できる貴重な手術施設となっています。
内分泌代謝科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
100120xx99xxxx 肥満症-手術なし-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 47 12.32 14.43 0.00% 44.00
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)-手術なし-処置1:0-処置2:1あり-副病:0-0 30 11.50 14.28 0.00% 70.07
130030xx99x5xx 非ホジキンリンパ腫-手術なし-処置1:0-処置2:5あり-副病:0-0 29 22.28 19.67 3.45% 77.52
10007xxxxxx0xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 21 11.05 10.80 0.00% 57.48
100040xxxxx00x 糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン昏睡-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:なし-0 14 9.14 13.43 7.14% 60.86
糖尿病・内分泌・代謝内科は糖尿病、脂質異常症などの代謝性疾患、甲状腺、副腎などの内分泌疾患の診療を行っています。その中でも特に数多くの肥満症、糖尿病患者さんの診療を行っています。当院は肥満の内科治療、外科医療ともに力を入れております。肥満外科手術はこれまでに300例以上行われており、当科では肥満外科手術を行う前の内科的な減量治療と精密検査、術後の体重管理を行っています。
 また、糖尿病の入院診療は教育入院をはじめ、インスリン導入、糖尿病合併症治療、糖尿病性ケトアシドーシスや高浸透圧非ケトン性昏睡などの糖尿病性昏睡の入院を主に行っています。様々な持続グルコースモニタリングの新規デバイスも取り入れ、インスリンポンプ、SAP療法にも対応しております。
 また、糖尿病・内分泌・代謝内科は、血液内科と合同で診療を行っており、非ホジキンリンパ腫を含む悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群などの血液疾患の入院診療も行っています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 61 14 20 17 13 18 1 8
大腸癌 18 22 55 21 23 41 2 9
乳癌 25 25 - - - - 1 8
肺癌 36 18 21 62 17 26 1 8
肝癌 - - - - - 18 2 6
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
<胃がん>
早期胃がんは自覚症状が無いことも多く、健診や人間ドックなどで見つかることがほとんどです。早期に発見され治療に移行すると、治療成績も向上します。粘膜内に病変が留まる早期胃がんに対しては内視鏡治療が選択されます。内視鏡治療には、①内視鏡的粘膜切除術(Endoscopic Mucosal Resection, EMR)と、②内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic Submucosal Dissection, ESD)があり、ESDが数多く実施されております。
手術切除の必要な進行がんにおいても低侵襲化を目的に腹腔鏡外科手術の治療を行っています。高度進行例・再発例に対しては、化学療法を中心とした集学的治療を行われ、治療等に伴う副作用軽減に努めることで、治療成績と生活の質の向上を図っています。
早期胃がんは自覚症状がほとんどありませんが、検診、診断法の進歩により早期がん症例が最も多くなっています。それに伴って、治療成績も向上傾向を継続しております。早期胃がんに対する内視鏡治療は、局所的な治療で、粘膜内にがんが限局して胃壁外のリンパ節に転移がない病変が対象となります。内視鏡的粘膜切除術(Endoscopic Mucosal Resection, EMR)と、内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic Submucosal Dissection, ESD)の2種類がありますが、現在は、ほとんどESDにて治療を行なっております。外科的切除に比べて身体への負担は少なく、大きな治療効果が得られています。高精度な診断を前提としますが、切除後も病理検査で精査し、浸潤傾向によって外科切除を追加することもあり、治療方針は説明したうえで相談して決めています。
外科治療においても低侵襲化を目的に腹腔鏡下手術、ロボット支援下手術の適用を進めています。高度進行例・再発例に対しても、集学的治療による成績向上が得られています。抗がん剤・免疫療法を併用した治療では、ガイドラインに沿った化学療法を実践しつつも、副作用軽減にも努めており、治療成績と生活の質の向上を目指しています。近年の手術法・術後補助療法の進歩により、進行がんにおける手術後の再発防止の成績はさらに向上しております。
<大腸がん>
大腸がん(結腸・直腸)患者さんに対しては、早期例に対する内視鏡切除をすすめるとともに、外科治療においても低侵襲化を目的に腹腔鏡外科・ロボット外科の適用をすすめています。高度進行例・再発例に対しては、集学的治療を適用し、成績向上が得られています。抗がん剤治療・免疫治療等を併用した治療では副作用軽減に努めており、治療成績と生活の質の向上を図っています。近年の手術法・術後補助療法の進歩により、進行がんにおける手術後の再発防止の成績はさらに向上しております。再発した場合でも、多種の薬剤より治療選択を行い、治癒切除ができる可能性を模索します。また化学療法の継続が必要な場合には、生活の質の維持と、病勢の抑制を図りながら加療する方針をとり 、副作用軽減と通院化学療法での診療を継続しています。
<乳がん>
病期においては、検診精査施設からの検診発見の早期乳がん患者さんの紹介を多く受けていることから、現在はステージの低い早期乳がん(ステージⅠおよびステージⅡ)患者さんを治療している傾向があります。 乳がんの再発は、術後5-10年後に起こることが多いため、再発数は過去の手術例の病期に依存します。以前は進行乳がんの患者さんを多くみていたことが上記の再発の割合に影響しています。現在、紹介を受けている早期乳がん中心の治療を続けて行けば、再発の割合はより低下して行くことが予想されます。
<肺がん>
肺癌は検診での発見、他疾患の診療中での発見、症状からの発見で当院に紹介されてきます。診断時に半数はstage IVと言われていますが、当院でもそのような比率となっています。手術による治癒を目指すには無症状の段階での発見が重要であり、検診の受診率の向上が望まれます。
肺がんの内科治療は入院より外来中心に移行しつつありますが、本統計は入院のみの数値です。肺がんの新規発症の著しい増加に加えて治療の進歩による生存期間の延長もあり、入院患者以外に、通院患者数の増加が著しくなっています。
呼吸器内科、呼吸器外科、放射線科、および病理診断科で行う合同カンファレンス、各診療科ごとのカンファレンスなど複数の医師で、個々の患者さんに対して、最適な治療を検討、確認しております。外科手術適応がある例(主にstageⅠ、Ⅱ)に対しては、可能な限り、低侵襲な胸腔鏡手術を施行し、早期の社会復帰を可能にしています。局所進行肺癌に対しては、薬物治療、放射線治療、手術など複数の治療を組み合わせた集学的治療も行っています。進行がんに対しては、遺伝子変異の解析や免疫組織化学染色を用いて、個々の症例のがん細胞の特性を把握し、プレシジョン医療を実践しています。緩和ケアが必要な患者さんに対して、担当医の他、看護師・薬剤師も含む緩和ケアチームが取り組んでおりますが、高齢者やADL(Activities of Daily Living=日常生活動作)の低下した方、いわゆる終末期の方も非常に増加しており、当院のみでの対応は難しく、地域の病院、診療所との連携が一層重要となってきています。また、研究活動にも積極的に取り組んでいます。
<肝がん>
当院では肝臓癌に対して内科・外科・放射線科から活発に意見交換をしながら、肝癌診療ガイドラインに則り、適切な治療を決定していきます。手術療法・肝動脈化学塞栓療法・ラジオ波焼灼療法・化学療法・放射線治療から、それぞれ単独治療や併用治療など患者と相談しながら決定していきます。近年、肝細胞癌に対する分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬が開発・適応拡大され治療選択の幅が大きく広がっております。複数の抗癌剤から患者の生活に合わせ、その質をなるべく落とさないように治療することが期待されております。一人一人の患者と対話をしながらオンデマンドの治療を提供できるように日々診療を行っております。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 - - -
中等症 20 11.00 73.75
重症 10 11.50 79.60
超重症 - - -
不明 - - -
本統計は入院患者さんのみの統計です。
成人市中肺炎の多くは外来治療可能ですが、肺炎としての重症度は軽度であっても、合併症の問題で入院となる場合が多くみられます。ADL(Activities of Daily Living=日常生活動作)の低下した高齢者の介護関連肺炎はいわゆる市中肺炎とは区別して考えるべきですが、統計的に明確に区別はされていません。当院、当科の現状から、介護関連肺炎の受け入れは原則として行っておりませんでしたが、救急科創設により、介護関連肺炎(概ね、誤嚥性肺炎と合致)の受け入れが増加傾向にあります。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 146 20.01 75.29 37.42%
その他 9 19.89 76.11 3.87%
当院では脳卒中ケアユニット(SCU)を6床運営しており、脳梗塞を積極的に受け入れています。脳卒中の専門知識を持つ経験豊富な医師、看護師、リハビリテーション技師らの専門チームにより、脳梗塞を発症早期から24時間体制で集中的に治療を行っています。早期離床を目指し加療し、必要であれば早期の回復期リハビリテーション病院へ転院を進められるように、医師、リハビリテーション技師、看護師およびメディカルソーシャルワーカーとの多職種カンファレンスを定期的に行っています。そのため、脳梗塞の平均在院日数は19.89から20.01日であり、より短い期間に抑えられるよう努力しております。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
小児科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K9131 新生児仮死蘇生術(仮死第1度) 11 0.00 38.18 0.00% 0.00
K9132 新生児仮死蘇生術(仮死第2度) - - - - -
K7151 腸重積症整復術 非観血的なもの - - - - -
当科は一般小児科病棟の他に、新生児集中治療室(NICU)/新生児回復室(GCU)を設置しており、地域周産期母子医療センターとしての機能を有しています。そのため、新生児の医療的ケアに力を入れており、地域からの周産期医療へのニーズが高く、NICUへの入院が多い状況が続いています。さらに在胎週数のより早い児への対応を行うよう取り組んでいるため、早期産での出生や低体重での出生など、厳しい状態で出生する児の入院が増えてきている状況です。
新生児仮死の状態での出生もそれに合わせて増加しており、心臓マッサージや気管内挿管も含めた蘇生術を要する新生児が増えてきている状況です。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K4763 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 30 1.13 5.83 0.00% 66.03
K5131 胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除)) 29 5.76 2.79 0.00% 39.21
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) 24 1.29 3.42 0.00% 73.08
K5143 肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える) 17 1.00 5.18 0.00% 73.18
K4765 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術・胸筋切除を併施しない) 13 1.08 7.77 0.00% 71.46
若年性の気胸の手術では術後2日での退院を基本としています。肺悪性腫瘍に対する手術では手術の1日前の入院が基本で、肺部分切除で術後3日、肺区域切除・肺葉切除で術後4日での退院を目標としています。術後の出血・空気漏れの予防や鎮痛に配慮して、なるべく早期に退院できるようにしています。
乳腺外科では原発性乳がん、転移性乳がん、その他の乳腺悪性腫瘍および良性腫瘍の診断、外科治療、術後補助療法を担当しています。特に高い専門性を求められる非浸潤性乳がんの診断と外科治療では、広域から患者さんを紹介していただいています。
多様化する患者さんのニーズに応えるべく、患者さん一人一人に最適な乳がん手術を提供しています。高い整容性を求める患者さんに対しては乳房部分切除や乳房再建を含めた乳房切除を提供し、高齢などの生活リスクのある患者さんに対しては、低侵襲性を重視して早期退院ができるように心がけています。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0821 人工関節置換術 肩、股、膝 etc. 160 1.96 15.94 15.63% 73.49
K0461 骨折観血的手術 肩甲骨、上腕、大腿 etc. 40 4.95 24.55 60.00% 76.05
K079-21 関節鏡下靱帯断裂形成手術(十字靱帯) 33 1.33 8.64 3.03% 33.30
K069-3 関節鏡下半月板縫合術 31 1.16 6.26 3.23% 45.23
K066-21 関節鏡下関節滑膜切除術 肩、股、膝 etc. 26 1.15 8.92 0.00% 49.00
膝関節疾患、スポーツ外傷を中心に、一般外傷を含めた幅広い分野の手術を行っています。2012年1月に「運動器低侵襲治療センター」を立ち上げて以来、特に膝関節鏡視下手術と人工膝関節置換術・人工股関節置換術が多くなっています。膝関節鏡を行う手術としては、十字靱帯再建術、半月板縫合・切除術、高位脛骨骨切り術、骨軟骨移植術、自家軟骨培養移植術、内側膝蓋大腿靱帯再建術などがあり、2022年度の膝関節鏡手術の合計は169件となります。骨折などの一般外傷に対する手術は、合計117件であり、さらに脊椎手術87件、その他の手術41件を行っています。
形成外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2193 眼瞼下垂症手術(その他) 30 0.97 1.03 0.00% 67.77
K2191 眼瞼下垂症手術(眼瞼挙筋前転法) 28 1.07 1.39 0.00% 66.89
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 16 1.00 5.81 6.25% 78.63
K0301 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術 躯幹 etc. 11 1.00 3.09 0.00% 50.09
K0064 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径12cm以上) - - - - -
眼瞼下垂症は腱膜性眼瞼下垂症、加齢性眼瞼下垂、先天性眼瞼下垂、麻痺性下垂など病態により、眼瞼挙筋腱膜固定術、眼瞼挙筋前転術、筋膜移植術、眉毛下皮膚切除術、眉毛挙上術などを行っています。皮膚悪性腫瘍は扁平上皮癌、基底細胞癌、悪性黒色腫、乳房外Paget病などに対し、リンパ節郭清を含む根治切除を行い、特に顔面・頭頚部では外鼻・眼瞼・頬部・口唇の悪性腫瘍切除後にユニット原理に基づき整容面・機能面に配慮して皮弁等による再建手術を行っています。四肢・駆幹の良性軟部腫瘍は筋肉内脂肪腫がメインですが、キズアトが目立たないよう考慮して摘出します。悪性軟部腫瘍に対しては広範切除、局所皮弁、筋皮弁、遊離皮弁などによる再建手術を行います。皮膚皮下腫瘍は色素性母斑や血管腫、皮下脂肪腫、神経線維腫が主な対象です。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 50 0.48 8.52 28.00% 80.56
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術 17 2.77 9.12 0.00% 76.65
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) 13 12.39 36.46 30.77% 68.69
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所) 10 0.80 27.10 20.00% 64.20
K1781 脳血管内手術(1箇所) - - - - -
慢性硬膜下血腫は、高齢者に多い疾患ではありますが、侵襲の少ない局所麻酔下での手術が可能であり、また予後良好なため、短い入院日数で加療ができます。脳神経外科では脳卒中を積極的に受け入れているので、くも膜下出血に対する脳動脈瘤頸部クリッピングを多く行っています。くも膜下出血は発症時の意識状態がその予後に強く影響するため、重症の場合はどうしても入院日数が長くなる傾向があります。しかし当院では脳卒中ケアユニット(SCU)を運営しており、早期離床を目標とし、また早期回復期リハビリテーション病院への転院を円滑の行うよう努力をしています。頭蓋内腫瘍に対しては、摘出後に病理診断を行い、後療法(化学療法、放射線加療)が必要な場合もあるため平均在院日数は36.46日と他疾患と比較して長くなっています。また、頸動脈狭窄において狭窄度が強いもので、脳梗塞予防を考え外科的治療が必要と診断した場合に動脈血栓内膜摘出術、経皮的頸動脈ステント留置術を行っています。なお、経皮的頸動脈ステント留置術は脳血管内専門医が行っています。
心臓血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6171 下肢静脈瘤手術(抜去切除術) 29 0.90 1.00 0.00% 70.86
K5551 弁置換術(1弁) 14 5.50 15.86 0.00% 73.14
K552-22 冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺不使用)(2吻合以上) 13 3.54 14.31 0.00% 68.69
K5612ロ ステントグラフト内挿術(腹部大動脈) 10 2.50 7.80 0.00% 82.20
K5522 冠動脈、大動脈バイパス移植術(2吻合以上) - - - - -
近年下肢静脈瘤に悩んでいる方が数多くおられ、外科治療対象となる方が増大しており、当院では局所麻酔で再発の心配が少ないストリッピングを中心に日常診療を進めています。
大動脈弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症を中心とした弁膜症が数多く診断されるようになり、近年の外科手術手技の向上に伴い症例によっては右小開胸での弁置換、弁形成術が可能なケースも増えてきています。
虚血性心疾患は糖尿病増加に伴い外科治療対象者が増加してきています。心機能が良好な症例では、人工心肺を用いないオフポンプ冠動脈バイパス術を積極的に行い極めて良好な結果を得ています。   CT検査の結果、腹部大動脈瘤が見つかる方が数多くおられ、外科治療対象となる方が増大しています。近年はカテーテルを用いたステントグラフト内挿術が増加しています。                        陳旧性心筋梗塞など低心機能の虚血性心疾患に対しては、人工心肺を用い安定した血行動態のもと、多枝バイパスによる完全血行再建を行い心機能の改善を目指しております。
産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K877 腹式単純子宮全摘術 etc. 91 1.18 6.12 0.00% 48.68
K877-2 腹腔鏡下腟式子宮全摘術 etc. 80 1.13 4.16 0.00% 47.33
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側) 腹腔鏡によるもの etc. 76 1.08 3.82 0.00% 43.22
K8881 子宮附属器腫瘍摘出術(両側) 開腹によるもの etc. 48 0.92 6.08 0.00% 54.65
K867 子宮頸部(腟部)切除術 30 1.13 1.00 0.00% 38.83
子宮良性腫瘍(子宮筋腫、子宮腺筋症)及び子宮頸部上皮異形成に対して、腹腔鏡下または開腹の子宮全摘術を行います。良性卵巣腫瘍に対しては腹腔鏡下手術を第一選択とします。良性腫瘍の術式選択は腫瘍の大きさや患者さんの既往歴により決定します。子宮頸部高度異形成などの子宮頸部の前がん腫瘍に対して子宮頸部のみを切除する円錐切除術を行います。婦人科疾患に対しては腹腔鏡技術認定医、婦人科悪性腫瘍認定医をリーダーとするグループで対応しています。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む) 389 0.90 5.12 0.26% 65.22
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入)(その他) 385 0.99 1.38 0.26% 73.39
K2802 硝子体茎顕微鏡下離断術(その他) 98 0.90 5.05 0.00% 67.80
K281 増殖性硝子体網膜症手術 71 0.93 8.14 0.00% 55.62
K2685 緑内障手術(緑内障治療用インプラント挿入術)(プレートあり) 52 0.87 5.19 0.00% 72.08
裂孔原性網膜剥離に対する手術は年齢や眼内の状態により硝子体顕微鏡下離断術と網膜復位術を選択しています。その結果として約3分の2が硝子体手術で残りの3分の1が網膜復位術となっています。いずれの術式であっても、受診当日の入院と一両日中の手術で対応しています。                                                重症な網膜疾患以外の手術に関してはパスを用いており、術者が異なっても統一した入院治療計画で対応しています。緑内障手術は基本的に濾過手術を施行していますが、難治性の血管新生緑内障に対してはチューブシャント手術による流出路再建を積極的に行っており治療成績も良好です。
耳鼻咽喉科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 65 1.03 3.99 0.00% 58.92
K3192 鼓室形成手術(耳小骨再建術) 31 1.00 4.61 0.00% 49.03
K3772 口蓋扁桃手術 摘出 etc. 28 1.29 6.57 0.00% 28.93
K3191 鼓室形成手術(耳小骨温存術) 27 1.07 3.96 0.00% 45.44
K340-6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術4型(汎副鼻腔手術) 23 1.00 4.09 0.00% 58.78
耳科手術では聴力改善に力を入れており、鼓室形成術(耳小骨温存術・再建術)が最多ですが、耳硬化症・耳小骨奇形・外リンパ瘻に対する手術・顔面神経減荷術・内リンパ嚢開放術・人工内耳植え込み手術なども行っております。
鼻副鼻腔手術はこれまで行われていた慢性副鼻腔炎や良性腫瘍に対する内視鏡下鼻副鼻腔手術に加えて、難治性・反復性前頭洞炎に対する前頭洞単洞化手術、後鼻神経切断術、鼻中隔穿孔閉鎖術、涙嚢鼻腔吻合術や眼科と合同で涙小管疾患に対する手術なども行っております。困難な症例に対してはナビゲーションシステムを使用していますので、より安全で確実な手術が可能になっています。また、脳神経外科が行う下垂体手術にも参加しています。慢性扁桃炎に対する口蓋扁桃摘出術、声帯周辺の疾患に対する喉頭微細手術、頸部良性腫瘍に対する手術なども行っております。
皮膚科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 16 0.00 5.31 0.00% 77.06
K0063 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径6cm以上12cm未満) - - - - -
K0023 デブリードマン(3000cm2以上) - - - - -
K013-21 全層植皮術(25cm2未満) - - - - -
K013-22 全層植皮術(25cm2以上100cm2未満) - - - - -
入院手術は、扁平上皮がん、基底細胞がん、ボーエン病、日光角化症などの皮膚悪性腫瘍を最も多く行っています。病期に応じて単純切除術、植皮術などを選択し、予定された入院期間内で治療を行っています。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) 137 1.10 4.92 0.00% 75.84
K843-4 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いる) 125 1.01 9.46 0.00% 70.57
K7811 経尿道的尿路結石除去術(レーザー) 101 1.37 3.54 0.00% 60.72
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 73 0.66 8.78 0.00% 68.33
K007-2 経皮的放射線治療用金属マーカー留置術 70 0.87 1.87 0.00% 77.00
膀胱がんに対する経尿道的手術は筋層非浸潤性膀胱がんの根治的治療として、また筋層浸潤性膀胱がんの診断として行います。
前立腺がんの手術では、ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術(ダヴィンチ®)を導入し痛みの少ない低侵襲での手術を行っています。また、前立腺がんの放射線治療の前に、隣接する直腸への放射線被曝を低減させるためにハイドロゲルスペーサー(SpaceOAR®)と金属マーカーを挿入しています。
腎・尿管結石に対しては軟性尿管鏡等を用いた低侵襲手術により、従来の硬性内視鏡だけでは治療が難しい結石でも完全に除去することができます。結石性腎盂腎炎など尿管が閉塞したことによる尿路感染症に対しては、経尿道的に尿管ステント留置を行います。
循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 103 2.55 3.28 0.00% 72.40
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺、心外膜アプローチ) 96 2.12 2.03 0.00% 67.94
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 84 2.92 8.54 1.19% 75.11
K5492 経皮的冠動脈ステント留置術(不安定狭心症) 43 0.02 7.67 0.00% 66.93
K5972 ペースメーカー移植術(経静脈電極) 40 5.60 7.23 0.00% 75.95
循環器緊急疾患に対する対応としては、概ね平均術前日数の短さからみて、現状では良好であると思われます。ペースメーカーに対する対応をいかにスムーズに行えるか、設備及びマンパワーの問題の克服が求められる結果といえます。
消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 358 0.10 1.09 0.00% 70.10
K6871 内視鏡的乳頭切開術 乳頭括約筋切開のみのもの etc. 59 1.73 8.83 0.00% 75.49
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍胃粘膜) 48 0.92 5.08 0.00% 77.69
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 47 3.30 9.57 0.00% 77.17
K7212 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm以上) 40 0.25 2.65 0.00% 72.15
化器内科手術治療の中で最多となるのは、大腸ポリープの内視鏡切除です。以前は内視鏡的切除困難とされた2cmを超える巨大ポリープも積極的に治療しています。また病変範囲が広い早期胃がん、早期大腸がんに対しても粘膜剥離術による根治的切除の体制を整えています。内視鏡的治療は胆道・膵疾患、特に胆管結石や進行膵臓がん・胆道がんによる胆道閉塞にも行われています。胆道閉塞により細菌感染症を来し重篤な病状に進展するため、胆道結石に対しては内視鏡的乳頭切開術からの胆管結石除去、がんの胆道閉塞に対しては内視鏡的胆管ドレナージ術(ENBD)、その後の内視鏡的胆道ステント留置術を数多く実施しています。
消化器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 81 2.32 4.31 1.23% 62.26
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 66 1.23 2.02 0.00% 70.85
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 41 4.81 9.42 0.00% 73.32
K6335 鼠径ヘルニア手術 34 1.03 2.12 0.00% 72.35
K656-2 腹腔鏡下胃縮小術(スリーブ状切除) 34 2.35 4.38 0.00% 44.74
大腸(直腸)がんの患者さんは増加傾向にあり、高齢化も進んでおります。手術の必要な多くの方に腹腔鏡下手術での対応を図り、低侵襲外科治療を施行しております。現在では直腸がんに対してはロボット支援下手術も行っています。また、一方、急性腹症に対する救急外科にも積極的に対応しており、胆嚢炎に対しては患者さんの全身状態も加味しながら、内科的治療や外科的治療を選択しています。安全性を優先しつつ、低侵襲・早期退院を目指す治療を図っています。鼠径ヘルニアの患者さんも増えていますが、前方アプローチのみならず腹腔鏡下手術でも患者さんの希望に沿って治療を行っています。現在肥満に伴う糖尿病というた関連健康障害が問題になっていますが、手術で治療をすることができます。減量・代謝改善手術とよばれ、スリーブ状胃切除術が保険診療として受けられます。その他、当院では先進医療のスリーブバイパス術も行うことができます。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる 25 0.24%
180010 敗血症 同一 10 0.10%
異なる 20 0.19%
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 23 0.22%
異なる - -
医学の進歩に伴って、高齢者を含め、ほとんどの人が手術を受けることができるようになりました。しかしながら、手術は大きなストレスや侵襲を加えるため、重篤な基礎疾患を有している場合など、手術中、および手術後の合併症には十分に注意が必要です。合併症の発生率を減少させ、治療成績、医療の質を向上させることが重要です。
<播種性血管内凝固症候群DIC>
さまざまな重症の基礎疾患のために、過剰な血液凝固反応活性化が生ずるため体内で抗血栓性の制御能が不十分となり、血栓ができやすくなる一方で、出血もしやすい状態にもなります。全身の血管内で微小血栓が多発して臓器不全、出血傾向のみられる予後不良の疾患です。DICの基礎疾患は主に、「悪性腫瘍・白血病」、「重症な感染症」、「大きな外傷」、「急性膵炎」などです。原因となっている病気の治療が最優先ですが、血液を固まらせるバランスをサポートする治療も行います。早期発見・早期治療が極めて重要です。
<敗血症>
肺炎、腎盂腎炎、下部消化管穿孔、胆管炎など、何らかの細菌やウイルスより、生体内で感染症を起こしている部位から血液中に病原体が入り込み、全身にさまざまな影響がおよび、心臓や肺など体の重要な臓器の機能が障害(臓器不全)される疾患です。速やかに治療しなければ、ショック、播種性血管内凝固症候群,多臓器不全などとなり生命にかかわります。原因となっている病原体を同定し、最大限の効果を発揮する抗菌薬の投与を行うことが治療の中心です。感染によってダメージを受けた部位を取り除く手術を施行することを少なくありません。特に65歳以上の高齢者、乳幼児、免疫機能が低下する病気や治療を受けている人は発症するリスクが高いとされています。
<真菌症>
真菌とはカビのことです。カビが引き起こす感染症が真菌症です。健康な人には抵抗力があり通常は感染が成立しませんが、免疫系の機能が低下している状態や、体内に異物(人工関節や心臓弁などの医療機器を含む)が挿入されている状態では、真菌症の発症リスクが高くなります。抗真菌薬の投与により治療を行いますが、全身の皮膚や口腔内を清潔に保つケアを同時に行うことも重要です。糖尿病などの病気がある人ではより重篤で、治療効果も低くなります。
<手術・処置の合併症>
手術や処置に伴う合併症は、最大限の注意を払って最善の治療を施しても回避不可能な場合があります。
当院はチーム医療を推進し、医師、看護師、薬剤師、検査技師、放射線技師、リハビリテーションスタッフおよび事務員が連携し、患者さん中心の医療を実現する努力を行っています。
 感染対策室が中心となって、感染防止対策チーム(ICT=Infection Control Team)、抗菌薬適正使用支援チーム(AST=Antimicrobial Stewardship Team)を組織しています。ICTは、院内で起こるさまざまな感染症から患者さんと医療者を守り、合併症としての感染症を可能な限り低減させ、院内感染を適切に制御しています。院内ラウンドを定期的に行い、感染対策が院内の全ての場所で適切に実践されるよう取り組んでいます。ASTは、抗菌薬使用のモニタリングを行い、適正使用を推進し、薬剤耐性菌の発生の防止に取り組んでいます。
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