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労災認定患者の長期療養を防ぐための対策研究

労災認定患者の長期療養を防ぐための対策研究

診療情報使用に関するお知らせ

【研究課題名】

労災認定患者の長期療養を防ぐための対策研究

【研究の背景および目的

 2016年度の労災疾病臨床研究では、労災認定から4年経過して治ゆしている事例は53.2%、治ゆしていない事例は44.6%であり、治ゆしていない事例のうち治ゆの見通しがある事例は7.3%に過ぎず、ほとんどの事例の療養期間が長期化していることが明らかとなりました。
また、2017年度の労災疾病臨床研究では、10年以上治ゆしていない長期療養事例の調査を行い、全国に195名であることがわかりました。10年以上職場復帰できない理由は、(1)病状が改善しない、(2)手厚い休業給付に依存しているとすることが多く、その対策として(1)医療・行政・企業の連携、(2)職場復帰・就労支援体制の指導が多くあげられました。
 これら調査結果をもとに、東邦大学医療センター佐倉病院精神神経科では、労災認定患者が長期療養に至らずに早期に治ゆの状態となって、職場(社会)復帰を達成するための効果的な支援を策定する目的で、本研究を計画しました。
この研究で得られる成果は、精神疾患により労災認定された患者の長期療養を予防し早期に職場(社会)復帰への適切な支援につながります。

【研究対象および方法】

 この研究は、令和元年度労災疾病臨床研究事業:仕事を原因とした精神疾患の発症により労災認定を受けた長期療養者に対する治療と並行して行う効果的な社会復帰支援に関する研究(主任:桂川修一)分担研究(研究者:黒木宣夫)として東邦大学医療センター佐倉病院倫理委員会の承認を得て実施するものです。各都道府県の労働局に対する調査を実施します。
平成31年3月31日時点の総括表、5年以上療養調査個票、3年以内治ゆ調査表個票につき情報の記入を依頼します。労災認定から5年以上の長期療養に至っている患者群と療養開始から3年以内に症状固定(治ゆ)に至っている群を比較検討することで、できる限り早期に患者を治ゆ(症状固定)の状態にし、職場(社会)復帰の促進を図るための対策を検討します。
総括票では、症状固定(治ゆ)していない事案で療養開始から5年以上経過している人数、通院の実績、休業補償給付、労災保険の利用、事業主の証明、労災医療を円滑にするための方策、早期復職を進めるのに必要な対策を調査します。 5年以上療養個票と3年以内治ゆ個表では、それぞれの事案で年齢、性別、傷病名、心理負荷表の出来事、時間外労働について、事業場の規模、業種と職種、通院頻度、事業主の証明、復職、1ヶ月のおおよその保険給付額、休業給付の支給、既往症、既存障害、復職の意思確認と職場の受け入れ、定期的な補償請求、治ゆ見通し、損害賠償訴訟、休業中に会社側からの働きかけ、その他意見等を調査します。
研究対象者は、平成31年3月31時点で労災認定から5年以上症状固定(治ゆ)せず長期療養に至っている方々と平成29年度及び30年度において療養開始から3年以内に症状固定(治ゆ)に至っている方々です。
研究期間は令和元年4月から令和3年3月までで、研究対象者は上記のとおり労災認定から5年以上の長期療養されている方と療養開始して3年以内に症状固定(治ゆ)した方です。
今回の研究で得られた成果を、医学的な専門学会や専門雑誌等で報告することがありますが、個人を特定できるような情報が外部に漏れることは一切ありません。
本研究に関してご質問のある方は、下記までご連絡下さい。

【連絡先および担当者】

東邦大学医療センター佐倉病院 精神神経科
職位・氏名 教授  桂川 修一
電話 043-462-8811